高橋響 日記

高橋響のどうしようもない日記

思い出のご飯

恥ずかしながら、最近ようやくKendrick Lamar『Mr. Morale & the Big Steppers』の良さに気付き、毎日聴いています。

 

「今までで1番美味しかったご飯はなに?」と聞かれたら皆さんはなんと答えますか?

食べログ評価の高いお店、安くて美味しい牛丼屋、町の定食屋など…僕たちは常日頃からクオリティの高い食事に恵まれています。あまり声を大にして言いたくはないのですが、音楽が仕事になってから、美味しいご飯屋さんに連れて行ってもらったり、地方の名物を食べたりとそれなりに贅沢な食事を摂っている(摂らせて頂いている)つもりです。本当にありがたいです。

しかし「今までで1番美味しかったご飯はなに?」と聞かれたら僕は「幼い頃、豊沢川の河川敷で母と半分こして食べたコンビニのサイコロステーキ弁当」と答えます。

保育園に通っていた頃だったと思います。昔から母とは友達みたいな感覚で色々な所に出掛けていました(徒歩か自転車、バス圏内)。そんな日々の何気ない一コマ。ただ弁当を買って河川敷で食べただけなのに、なぜかこの日の事はずっと覚えています。

 

当時、僕は「サイコロステーキ弁当は高級だから2つも買うお金がなく、半分こにしたのではないか?」という憶測を立てていました。子供なりに「うちはお金持ちじゃない…」と思っていたのでそういった考えになったのだとおもいます。でも今、あの頃の記憶に修正を加え「あれは僕がまだ幼くひとつを食べ切る事ができないから半分こにしたのではないか?」という新たな憶測を打ち立てました。本当にどうでも良い考察です。きっとこの事を母に聞いたら半笑いで「そんな事あったっけ」と言われるに違いありません。

 

あの弁当を買った桜町のサークルKサンクスファミリーマートになっていて、保育園に通っていた少年は大学を卒業し、ミュージシャンになりました。時間はすごい速さで流れていきます。

 

きっと今、同じサイコロステーキ弁当を食べてもそれほど美味しいとは感じないはずです。でも、あの頃、桜の咲いている河川敷で母と食べたサイコロステーキ弁当は、今も「1番美味しいご飯」で在り続けています。暖かい春の日の思い出。

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